プロローグ
青いレールは、ゆっくりと高度を下げながら、
大きな海へ向かって伸びていた。
秋田リンクの黄金色の大地を越えた先。
空へ続く光の道の両側には、
深い森と、荒々しい海岸線が広がっている。
アリスは遠くを見つめた。
「海だ……。」
アリーが静かに答える。
「ここからが岩手リンク。
三陸の海と、大地の記憶を巡る空路よ。」
二人は青く輝くレールへ進んでいく。
眼下には、
切り立った断崖。
入り組んだ海岸線。
そして太平洋の大きな水平線。
潮の香りを感じるような風が、
二人の間を通り抜けていった。
海岸を走る光の道
「すごいな……。」
アリスは思わずペダルを止めそうになる。
「海が近いのに、山もすぐそこにある。」
アリーは頷いた。
「三陸海岸は、長い時間をかけて海と大地が作り上げた景色なの。」
スカイロードの下には、
白い波が岩肌を洗う海岸。
その上を、
青い光のレールが静かに伸びている。
「空の上を走っているのに、
海の中を旅しているみたいだ。」
「三陸の風を再現しているからよ。」
アリーが答える。
「この風景には、
強さと優しさが同時にあるの。」
アリスは海を見下ろした。
荒々しい岩。
穏やかな入り江。
そのすべてが一つの景色として広がっている。
浄土ヶ浜の白い海岸
しばらく進むと、
海の色が少しずつ変わり始めた。
深い青から、
透き通るような水色へ。
その先に現れたのは、
白い岩と青い海が広がる美しい浜。
「ここ……。」
アリスは言葉を失った。
「まるで別の星みたいだ。」
アリーが静かに説明する。
「浄土ヶ浜。
三陸を代表する景勝地のひとつよ。」
白い流紋岩。
穏やかな入り江。
青く澄んだ海。
スカイロードはその上を、
ゆっくりと通過していく。
「名前の通り、本当に静かな場所だな。」
「昔の人も、この景色を見て特別な場所だと感じたのかもしれないわ。」
風は穏やかだった。
波の音だけが、
遠くから聞こえてくるようだった。
モデルになった地上ルート
岩手リンクは、
三陸海岸の絶景ルートと、
浄土ヶ浜周辺の自然景観をもとに設計されている。
地上では、
海岸線に沿って続く道。
山と海が近い独特の地形。
そして場所ごとに変化する海の表情。
スカイロードでは、
その魅力を空から楽しめるよう設計された。
青いレールは、
海沿いでは透明感のある水色へ。
断崖に近づくと、
深い青い光へ変化する。
「場所によって道の色まで変わるんだな。」
アリスが感心する。
「景色を記録するだけじゃなく、
その土地らしさを感じるための道だから。」
アリーは前方を見つめた。
「スカイロードは、
景色を見る場所ではなく、
景色と一緒に進む場所なの。」
三陸の風を受けて
夕方。
太陽が海へ近づく頃。
三陸の海岸線は、
黄金色の光に包まれていった。
アリスは少し速度を上げる。
「この景色なら、もっと走りたくなるな。」
「疲れていないの?」
アリーが尋ねる。
「全然。」
アリスは笑った。
「こんな場所で止まっているほうがもったいないよ。」
二人のタイムサイクルは、
青いレールの上を進んでいく。
後方には、
海へ伸びる光の軌跡。
前方には、
まだ続く三陸の海岸線。
岩手の風が、
二人を次の景色へ運んでいった。
岩手リンクの終端
やがて、
青いレールの先に、
新しい光が見えてくる。
海岸線から内陸へ向かう道。
そこには、
緑豊かな山々と、
歴史ある町並みが広がっていた。
アリスは前を見る。
「次はどんな景色なんだ?」
アリーは静かに答えた。
「宮城リンク。
海と島々、そして人が作り上げた景色を巡る空路よ。」
遠くには、
松島へ続く青い光の道。
海に浮かぶ島々が、
夕日の中で輝いている。
「まだまだ見たい景色があるな。」
アリスが笑う。
「それが旅だから。」
アリーは前へ進む。
二人は三陸の風を背に受けながら、
次の空の道へ走り出した。
岩手の海が残した記憶を胸に、
新しい景色へ向かって。
🌤 スカイロード公式設定
『スカイロード』は、西暦2125年を舞台にした未来SFサイクリングストーリーです。作品に登場する未来技術や世界観、登場人物などを「公式設定ページ」にまとめています。物語をもっと楽しみたい方は、ぜひご覧ください。
