2025年への冒険から数日後。
アキとヒロは、いつものようにサンセットを訪れていた。
「こんにちはー!」
店のドアを開けると、コーヒーの香りがふわりと漂う。
しかし、いつもなら笑顔で迎えてくれるユウの姿が見当たらない。
「あれ?」
アキが店内を見回す。
「奥じゃないか?」
ヒロがガレージの方を指差した。
二人が向かうと、ユウはタイムサイクルの前で工具を手に何やら作業していた。
カチ。
カチ。
静かな音が響く。
「何してるの?」
「点検だよ」
ユウは顔を上げずに答えた。
「またどこか行くの?」
アキの目が輝く。
「いや、今日は違う」
その時だった。
タイムサイクルのモニターが突然点滅した。
ピッ。
ピッ。
ピッ。
「ん?」
ユウが顔を上げる。
画面には見慣れない表示が現れていた。
【TIME CODE ERROR】
【検索範囲外】
【座標取得失敗】
「何これ?」
アキが首をかしげる。
「初めて見るな」
ヒロもモニターを覗き込んだ。
ユウは静かに画面を見つめる。
そして、小さくつぶやいた。
「なるほどな……」
「何かわかったの?」
アキが身を乗り出す。
ユウは腕を組んだ。
「どうやら、今のタイムサイクルじゃ届かない時代があるらしい」
「えっ!?」
アキの声が響く。
「私たちが行った以外にも?」
「もちろんだ」
ユウはうなずいた。
「時間の流れはもっと広い」
アキの目がキラキラと輝く。
「じゃあ行こう!」
「無理だ」
即答だった。
「えーーーっ!?」
「今のタイムサイクルじゃ届かない」
アキはその場で崩れ落ちた。
「そんなの絶対気になるじゃん!」
「気になるな」
珍しくヒロも同意する。
「だよね!?」
「でも無理なんだろ?」
「無理だ」
ユウはあっさり答えた。
「今のタイムサイクルには限界がある」
「限界?」
「安全のために移動範囲を制限しているんだ」
アキは口をとがらせた。
「そんなの解除しちゃえばいいのに」
「簡単じゃない」
ユウはそう言って立ち上がる。
そしてガレージの奥へ歩いていった。
二人も後を追う。
奥には大きな布が掛けられていた。
まるで何かを隠しているようだ。
「これ何?」
アキが指差す。
「秘密だ」
「絶対タイムサイクルでしょ!」
「秘密だ」
「絶対そうだって!」
「秘密だ」
ヒロがため息をつく。
「全然隠す気ないな」
思わず三人とも笑った。
その時。
布の隙間から金色の光が一瞬だけ漏れる。

アキは気付かない。
ヒロも気付かない。
だがユウだけは、その光を見て小さく笑った。
「まあ、そのうちな」
「え?」
「なんでもない」
夕日がガレージの床を赤く染める。
いつものサンセット。
いつもの三人。
でも、まだ見ぬ時代は確かに存在していた。
アキはタイムサイクルを見上げる。
「次はどんな冒険になるのかな?」
ヒロも微笑む。
「また大騒ぎになりそうだけどな」
ユウは静かに答えた。
「それも悪くない」
ガレージに笑い声が響く。
そして誰もいなくなった後。
モニターが一瞬だけ点灯した。
【NEW CYCLE PROJECT】
【開発中】
金色の光が静かに輝く。
次の冒険は、まだ誰も知らない。
次回予告
見知らぬエラーが示したのは――
まだ誰もたどり着いていない未知の時代。
そしてサンセットの奥で静かに進む新たな計画。
布に隠された謎のマシン。
漏れ出す金色の光。
「今のタイムサイクルじゃ届かない」
ユウの言葉の意味とは?
さらに広がる時間の世界。
さらに大きな冒険。
アキとヒロの旅は、まだ終わらない。
――。

