創作SFノベル 鋼の旅人：世界を駆けるロボット「ユノ」ー⑩
第10話 北極圏・オーロラの下 氷原に立つ者「孤独の氷原に立つユノ」「沈黙の世界に、最後の旅人は足跡を刻む。」北極圏の風は、硬質な刃のように空気を削りながら走り、雪はそれに従う微粒子となって氷原の表面を擦りガラスのように磨いていた。ユノは仮...
2025-09
創作SFノベル 
創作SFノベル 鋼の旅人：世界を駆けるロボット「ユノ」ー⑨
風が奏でる旋律の中で、ユノは“涙”を知った。第9話 ― ユーラシア・風の渓谷 ―風が歌っていた。それは音でも声でもなく、大地の深奥から湧き上がるような“うねり”だった。ユーラシア大陸の内陸部に広がる「風の渓谷」は、かつて文明と文明が交差した...
創作SFノベル 鋼の旅人：世界を駆けるロボット「ユノ」ー⑧
地底に眠る知識と記憶、その海に触れる瞬間。第8話 地底図書館——記憶の海に触れて月明かりも届かない、地表からはるか地下。幾重もの崩落した岩壁を抜け、ユノは長い螺旋状の通路を降り続けていた。サイクルコンピュータが示す標高は、すでに海抜マイナス...
創作SFノベル 鋼の旅人：世界を駆けるロボット「ユノ」第1話
荒廃した世界を駆けるユノ。彼の旅はここから始まる。起動──鋼の自我、眠れる記憶プロローグ 暗闇の中、音も光もなかった。 世界は眠っていた。いや、止まっていた――その瞬間までは。 「起動コード認識──ユノ、再起動開始。」 乾いた電子音が格納庫...
タイムサイクル タイムサイクル 番外編①
恐竜時代を駆け抜けろ！原始の衝動「ねぇヒロ、たまには思いっきり原始の世界とか行ってみたくない？」「いや、それ絶対ヤバいでしょ。肉食恐竜とかいるんだよ！？」おそるおそる口にしたヒロに対し、アキは目を輝かせていた。迷う素振りもなく、タイムサイク...
タイムサイクル タイムサイクル 第10話（最終話）
「ふたりで未来へ」長く続いた時空の旅も、ついに終わりが近づいていた。アキとヒロは、最後の着地点に設定された「現在」へと帰還する。だが、それはもう“旅を始める前”の場所とは少し違って見えた。沈みかけた夕日が、地平線の向こうに溶けていく。潮風に...
タイムサイクル タイムサイクル 第9話
「約束の場所へ」風が頬をなでる。アキとヒロは並んでペダルをこいでいた。タイムサイクルが時空を超える旅を続ける中で、ふたりの心の距離は少しずつ変化していた。かつては姉にまとわりついて離れなかった幼い弟。思春期を迎え、反抗心ばかりを前に出すよう...