アキとヒロは放課後、自転車でサンセットへ向かっていた。
店のドアを開けると、ユウが珍しく何かを見つめている。
「どうしたの?」
アキがカウンターをのぞき込む。
そこには透明なケースに入った小さな銀色の球体が映る写真があった。
「エネルギーカプセル?」
ヒロが首をかしげる。
「2325年の未来で使われている超高効率エネルギーだ」
「超高効率?」
「この大きさで街ひとつを数日動かせる」
アキの目が輝いた。
「すごい!見てみたい!」
ヒロは嫌な予感がした。
「その顔やめろ」
「よし、行こう!」
「早い!」
ユウは苦笑した。
「気を付けてな」
タイムサイクルのギアが光る。
時空トンネルを抜けると、二人の目の前に巨大な未来都市が広がった。
空には無数のホログラム広告。
空中道路を走る輸送ポッド。
超高層ビルの間を飛び交うドローン。

「すごーーい!」
アキが叫ぶ。
「映画の世界みたいだな…」
ヒロも思わず見上げた。
その時だった。
突然、街中に警報が鳴り響く。
『緊急警報。エネルギーカプセル輸送中に異常発生』
『カプセルが消失しました』
「消失?」
「盗まれたのか?」
人々がざわつき始める。
すると近くで警備ロボットと話している少女がいた。
「お願いです!早く見つけてください!」
アキは駆け寄った。
「何があったの?」
少女は驚いた顔をする。
「輸送管理員のミナです。新型エネルギーカプセルが消えたんです」
「盗難?」
「分かりません。監視映像にも映っていなくて…」
ヒロが考え込む。
「映像に映らず消えるなんて変だな」
アキは拳を握った。
「よし!探そう!」
二人は街中を走り回った。
だが手がかりはない。
その時、ヒロが空を見上げた。
「アキ、あれ見ろ」
ビルの間を一機の輸送ドローンが不自然な動きをしている。
しかも何かをぶら下げていた。
「あれだ!」
アキはタイムサイクルに飛び乗った。
「追うよ!」
「待てぇぇ!」
未来都市のサイクリングロードを全力疾走。
ドローンは空中道路へ向かう。
アキはハンドルを握りながら叫んだ。
「バリアシステム起動!」
青白い光がタイヤを包み込む。
厚さわずか0.01ミリのバリア。
タイヤの劣化を防ぎ、滑り止め効果も発揮する。
未来都市の急カーブも安定して走れる。
「すごい!」
アキはさらに加速した。
しかしドローンは上空へ逃げる。
「届かない!」
ヒロが周囲を見回す。
「前方の整備用スロープを使え!」
「了解!」
アキはスロープへ飛び込んだ。
勢いそのままに上層道路へ。
ドローンとの距離が縮まる。
その瞬間。
ドローンが急降下した。
「危ない!」
アキが避ける。
だがドローンの側面から銀色の球体が転がり落ちた。
「エネルギーカプセル!」
ヒロが叫ぶ。
カプセルは道路の端へ向かって転がっていく。
落ちれば大事故だ。
アキは全力でペダルを踏んだ。
「間に合え!」
ギリギリのところで追いつき、片手でキャッチする。
「やった!」
だが今度はバランスを崩す。
「アキ!」
ヒロが横から支える。
二人は協力して体勢を立て直した。
そのまま安全地帯へ滑り込む。
後で調査すると原因が判明した。
故障したドローンが誤ってカプセルを回収していたのだ。
盗難事件ではなかった。
ミナは深く頭を下げた。
「ありがとうございました」
「助かってよかった!」
アキが笑う。
ミナも笑顔になった。
「私、もっと安全な管理システムを考えてみます」
ヒロがうなずく。
「それが一番だな」
街には再び平和が戻った。
サンセットへ帰るとユウが待っていた。
「おかえり」
「ただいま!」
「未来都市すごかったよ!」
アキは興奮が止まらない。
「空飛ぶ道路!ホログラム!ドローン!」
「カプセル落としかけてたけどな」
ヒロが冷静に言う。
するとアキがニヤリと笑った。
「ねえユウ」
「なんだ?」
「次は300年後に行こう!」
ヒロが即座にツッコむ。
「また問題起こす気だろ!」
ユウは肩をすくめた。
「その前に宿題を終わらせたらどうだ?」
アキの動きが止まった。
「……あ。」
ヒロが笑う。
未来より先に片付ける問題が見つかったのだった。
次回予告
休日の午後。
サンセットで古いパンフレットを見つけたアキとヒロ。
それは2025年の大阪・関西万博のものだった。
「未来人の私たちが見に行ったら面白そうじゃない?」
アキの一言で、二人はタイムサイクルに乗り込む。
――
到着したのは100年前の万博会場。
未来技術の展示や世界中のパビリオンにアキは大興奮。
しかしその時、会場で迷子の少年と出会う。
人であふれる会場の中、二人は家族を見つけられるのか?
未来を夢見た人々の思いに触れる冒険!
第9話
「100年前の世界へ!」
お楽しみに!

