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タイムサイクル フリートラベル②

タイムサイクル

荒野を駆けろ!

西部劇の世界へ

「ねえヒロ! 西部劇の世界に行ってみたい!」
アキがタイムサイクルにまたがり、きらきらした目で言い放った。

ヒロは背中に冷や汗を感じながら首を振る。
「……また危ないことを……。銃とか飛んでくるだろ……」

だが結局は押し切られるのが常だ。
《時代設定:19世紀アメリカ西部》とディスプレイに浮かび、光がはじける。
ふたりは荒野へと飛び込んだ。

荒野の町で

乾いた風、砂煙、木造の町並み。
保安官やカウボーイが酒場の前で腕を組み、こちらをにらんでいる。

「わぁ、本物の西部劇だ!」
アキははしゃぐ。

だがヒロは青ざめていた。
「おい……銃持ってる連中ばっかじゃねえか」

そこへ数人のカウボーイが歩み寄ってくる。
「見慣れない鉄の馬だな。面白ぇ……勝負といこうじゃねえか!」

ヒロは小声で震える。
「け、決闘……?」

アキはにやりと笑った。
「違うよ、レースだよ!」

バリアシステムの秘密

実はふたりが身につけているカウボーイハットとコスチュームには、ユウが開発した最新のバリアシステムが仕込まれていた。

表面に0.1ミリの薄い空気の膜を張り巡らせ、弾丸程度なら弾き返す。
本来はユウ自身のための装備だったが、アキたちが西部に行くと知り「安全のために」と渡してくれたのだ。

アキはそれを嬉々として着込み、ヒロは半信半疑で袖を通していた。

荒野レース、スタート!

号砲代わりに銃声が鳴り響く。
「パァン!」

ヒロは飛び上がった。
「うわっ! 撃たれたっ!」

だがアキは笑顔で走り出す。
「大丈夫だって! 見て!」

次の弾丸がアキのハットに当たり、カンッと跳ね返って地面に落ちた。
ヒロは愕然とする。
「……弾、効かねぇ!? ユウ、神かよ!」

カウボーイたちは逆に盛り上がった。
「なんだあの衣装! 面白ぇ!」
歓声と共にレースが始まる。

荒野の障害物

馬たちは砂煙を巻き上げ、地面を揺らすような勢いで疾走していた。
その後方、アキはカウボーイハットを片手で押さえ、もう片方の手でハンドルを操りながら、大声で叫ぶ。

「こっちだよヒロ! ほら、置いてかれるぞ!」

太陽に照らされた笑顔は、まるでこの荒野そのものを楽しんでいるようだった。

「待てって! こっちは命がけなんだよ!」
ヒロは顔を真っ赤にし、必死でペダルをこぐ。
汗はすぐに乾き、砂埃と混じって頬にこびりつく。

前方の道には、巨大なサボテンが林立し、転がる丸太が予測不能に行く手を阻む。
その上、砂地から顔を出すガラガラヘビが牙をむき、シャーッと威嚇音を立てる。

「わぁーっ! 蛇! でも楽しいーっ!」
アキはまるで遊園地のアトラクションを楽しむように、蛇の横を軽々とかわし、笑い声を響かせた。

「だから、どこが楽しいんだよぉー!」
ヒロの悲鳴混じりの叫びは、砂煙に飲み込まれ、かき消されていく。

それでも二人のタイムサイクルは止まらなかった。
銃声が響き渡り、カウボーイたちは「イェーイ!」と声をあげ、まるで応援団のように弾丸を撃ち鳴らす。

だが飛んでくる弾丸はことごとく、ふたりを包む青白いバリアに当たり、カンッと音を立てて弾かれた。
0.1ミリの薄い空気の膜が、見えない壁となり、砂塵と共に閃光を散らす。

アキはちらりと振り返り、いたずらっぽく笑う。
「ほらね、ユウのバリア、すごいでしょ!」

「今さら説明するなーっ!」
ヒロはもう、叫ぶ気力すら砂に吸われていた。

崖っぷちのクライマックス

コースの先に、巨大な断崖絶壁が口を開けて待ち構えていた。
見渡す限りの赤茶けた岩肌。その向こうには、燃えるような夕陽が沈もうとしている。

「や、やばい! 止まれないっ!」
ヒロは青ざめ、必死にブレーキを握る。だが砂地のせいでタイヤは滑り、スピードはむしろ増していく。

「アキ、無理だって! 崖だぞ!」
風圧に声をかき消されながらも叫ぶヒロ。

しかし──アキの目は輝いていた。
その瞳には恐怖ではなく、圧倒的な“ワクワク”があった。

「行くよヒロ! 飛ぶんだよっ!」

アキはペダルを力いっぱい踏み込み、タイムサイクルのブーストスイッチを押した。
次の瞬間、地面が遠ざかり、ふたりの体が宙に浮かぶ。

風が爆発したように吹き抜ける。
夕陽を背に、ふたりの影が荒野に長く伸びていく。

「アキィィィィーーー!!!」
ヒロの悲鳴は、もはや歌のように響いた。

だが、タイムサイクルの周囲にはすでに青白い光が展開していた。
ユウが開発したバリアシステムが作動し、崖を越える衝撃を包み込む。

空気の膜がふたりを守り、着地の瞬間──
「ドンッ!」と砂煙が上がりながらも、ふたりの体はふわりと弾むように地面に吸い込まれた。

「うわぁぁぁーーーっ!!!」
ヒロの絶叫と、アキの高笑いが同時に荒野に響き渡る。

アキはハンドルを軽く叩きながら叫んだ。
「ねっ、言ったでしょ! 飛べるって!」

ヒロは地面に足をつき、震える声でつぶやいた。
「……アキ、お前、重力も常識もぶっ飛ばしてるよ……」

勝利とオチ

フィニッシュラインを突き抜けた瞬間、
荒野の空気が一気に震えた。

「やったーーーっ!!!」
アキの声が、まるで風を切り裂くように響き渡る。

馬を止めたカウボーイたちが一斉に帽子を掲げ、荒野じゅうに歓声が広がった。
銃声が祝砲のように空に鳴り響き、砂煙の向こうで誰もが笑っていた。

「勝った! ねぇ見た!? カウボーイより速かったよ!!」
アキは両手を高く挙げ、跳ねるように喜んだ。
カウボーイハットが風に飛ばされ、夕陽を受けてきらりと光る。

一方のヒロはというと──地面に座り込み、全身から力が抜けていた。
顔もシャツも砂まみれ。銀メダルを差し出されても、手が震えて受け取るのがやっとだった。

「……ユウがいなかったら、俺たち……確実に空の彼方に吹っ飛んでた……」
そのぼやきに、アキはけろっとした顔で笑う。
「でも飛べたじゃん! 最高だったでしょ?」

ヒロはもう反論する気力もなく、頭を抱える。
「お前……どこまで命知らずなんだよ……」

そんな二人の様子を見て、カウボーイたちは腹を抱えて笑った。
「いい勝負だった! あんたら最高だ!」
「今度は俺たちも、その“鉄の馬”に乗せてくれ!」

笑い声と夕焼けが、荒野をやわらかく包む。
アキは胸を張り、堂々と宣言した。

「ね? どんな時代でも、タイムサイクルなら走り抜けられるんだよ!」

その言葉に、ヒロは小さくため息をつき、苦笑いを浮かべた。
「……ほんとにもう、心臓が何個あっても足りないっての……」

ふたりの笑い声が、燃えるような夕陽の中でいつまでも響いていた。

まとめ──フリートラベルの醍醐味

こうして「西部開拓タイムレース」は幕を閉じた。
乾いた風と砂煙、銃声や馬の蹄の響きすら、ふたりにとっては冒険のBGMに過ぎなかった。
アキは最後まで笑い、ヒロは最後まで汗をかき、けれど二人とも心の奥では同じように高鳴る鼓動を感じていた。

「どんな時代でも、どんな場所でも、自転車を走らせる感覚は変わらないんだね」
ヒロがぽつりとつぶやくと、アキはにっこり笑って答える。
「うん。風を感じて、隣を走ってる──それだけで十分!」

その瞬間、ふたりは気づく。
銃を抜くカウボーイも、荒野を疾駆する馬も、未来の宇宙都市も、結局は“世界という舞台の背景”にすぎないことを。
本当に大切なのは、目の前の風景を分かち合い、互いの存在を確かめながら前へ進むこと。

それが、アキとヒロの変わらぬ旅のルールだった。
そしてそのルールこそが、時空を超えて旅を続ける「フリートラベル」の醍醐味なのだ。


※この物語はフィクションです。AI(ChatGPT)の支援をもとに執筆・編集されています。

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