「レーンの向こうの約束」

外伝①:「青く光る未来のレーン」
風を切って走る喜び
「やっぱり、この道、気持ちいいよね」
アキが風を切って笑う。
目の前に続くのは、次世代重力バリア完備の自転車専用レーン。
幅は片側4メートル。両側に植えられた緑が光を反射して、キラキラと輝いていた。
信号も交差点もなく、交差する道路はすべて地下通路に。
どこまでもまっすぐに伸びるその道は、まるで未来への滑走路のようだった。
守るためのバリア
少し後ろから走っていたヒロは、右端に流れる淡い青の光に目をやる。
「これがなかったら……きっと、何度も事故ってたかもな」
それは、自転車と車道を隔てる重力バリア。
走行中の自転車の高さにだけ反応し、他の乗り物をシャットアウトする仕組みだ。
もし突っ込もうとすれば、弾かれて外へ跳ね飛ばされる。
「昔はね、レーンがあっても車が入ってきて危なかったらしいよ」
アキは少し誇らしげに言う。
「でも、このバリアができてから、自転車事故は90%減ったんだって」
不意の危険
それでもヒロは首をかしげた。
「……でもさ、バリアにも“穴”があるよな。駐車場の出入口。もし子どもが飛び出してきたらどうなるんだろ」
アキはブレーキを軽くかけ、横に並んだ。
「うん……完全じゃない。だからこそ、走る側も気をつけなきゃ」
そのときだった。前方の出入口から、1台の車が飛び出してきた。
「危ない!」
ヒロの叫びと同時に、アキは反射的にハンドルを切り、ヒロの前に出た。
タイヤが路面をこすり、車の鼻先をギリギリで回避。
車の運転手は慌ててブレーキを踏み、深々と頭を下げた。
命を預ける道
ヒロが駆け寄ると、アキは膝をついて息を整えていた。
「……だいじょぶ。かすっただけ」
「かすったって……!」ヒロの手は震えていた。
それでもアキは笑って言った。
「レーンがあるからって、安心しすぎちゃダメだね。
どんなに整備されてても、“命を預ける道”なんだから」
その言葉にヒロは思う。
(自転車は便利で、速くて、気持ちいい。
でもそれは、“安全”が守られているからこそなんだ)
未来をつなぐ手
アキの自転車を支えながら立ち上がったヒロは、もう一度バリアの光を見上げた。
それはまるで、誰かが差し出してくれている“守る手”のようだった。
「ありがとう、バリア」
「おい、それ人じゃないから」
「いや、でもさ。未来の誰かが、俺たちのために作ったんだ。
この道も、このバリアも。だったら、俺たちもちゃんと使いこなして、守らなきゃ」
アキは少し驚いた顔をして、そして笑った。
「……ちょっと大人になった?」
「うるさい」
ふたりは再びサドルにまたがり、タイムサイクルを走らせる。
青く光る道は、静かにどこまでも続いていた。
それは、安全という約束の上に築かれた、ふたりの冒険の舞台。
(おしまい)

※この物語はフィクションです。AI(ChatGPT)の支援をもとに執筆・編集されています。