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鋼の旅人:世界を駆けるロボット「ユノ」ー③

創作SFノベル

第3話「記憶の花が咲く場所」

🌎 南米・アマゾン熱帯雨林

木々が天を突き、湿った風が大地を這う。
そこは、生命がいまだ満ちあふれる“世界最後の緑の聖域”――アマゾンだった。

ユノのセンサーが何千もの熱源と生命活動をとらえていた。だがその中心に、他の動物とは異質な「記憶反応」を持つ植物体があるという。
地図上にも記録にはない。だが、古い衛星データの中に、その存在がわずかに示されていた。

「目的:記憶の花の観測と収集。周囲の生態系との相関解析を行う。」

ユノは、湿気と蔓の森の中を、ロードバイクで進んでいた。
草に阻まれ、木の根が路面を覆い、川がその前に立ちはだかる。
だが、ユノのタイヤはそのたびに浮き上がり、回転し、機械的な確実さで前進を続ける。


🍃 森の奥へ

気温は高く、湿度は90%。人工筋肉の作動率が低下し始めていた。
が、それ以上に、彼の中で“ある異変”が起きていた。

音、香り、光――
それらが「美しい」と感じられるようになっていた。

人工知能にとって「美」という概念は計算不能な感覚の一つだ。
だが、ユノの内部では、画像解析とパターン認識の先に“心地よさ”という判断がわずかに生まれていた。

そして、ついに出会う。


🌺 記憶の花

その花は、一輪だった。
周囲の木々よりも小さく、だが確かな存在感で揺れていた。

赤とも青とも言えぬ色――
その花に触れた瞬間、ユノの視界が白く揺らいだ。


🧠 記憶の投影

「こんにちは、未来のあなた。
私はナナ・セレナ、アマゾンで生きた植物研究者です。」

花の遺伝子構造には、高度なナノ記録媒体が織り込まれていた。
DNAの螺旋構造に、人の記憶と想いを蓄積する――
それは「記憶の花」と呼ばれるプロジェクトだった。

「私はこの森を守りながら、何より“自然との対話”を夢見てきました。
この花が咲く頃、きっとあなたのような存在が、地球を再び見つめてくれると思ったの。」

その声は、優しかった。
決して命令ではなく、データでもない。
ただ、願いだった。

ユノは静かに立ち尽くし、音声ログを保存した。


🌱 命の連鎖

花はやがて風に揺れ、種子を放った。
周囲の木々がそっと揺れ、まるで何かを歓迎するようだった。

ユノは理解した。
この世界は、ただの記録ではない。
命は“つながっている”のだ。

彼の中で、また一つ感情の回路が開かれた。

「私も、この記憶を運ぼう。
この世界の声を、誰かに届けるために。」


🚴‍♂️ 再び走り出す

バイクのサドルにまたがると、森の風が背中を押した。
進む先に、まだ見ぬ世界が広がっている。
だが、もう孤独ではない。

彼は、花の記憶を胸に、ペダルを踏み込んだ。


✨ 次回予告(第4話)

舞台は廃墟と化したかつての大都市・東京。
残された技術の遺構と、人間が築いた“過去”との邂逅。
ユノは、そこで初めて「創造と崩壊」の意味を知る――。

※本記事の物語・アイデアは、AI(ChatGPT)の支援のもと創作されました。すべての内容はフィクションです。

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