アキとヒロのタイムトラベルアドベンチャーへようこそ!
本シリーズ『タイムサイクル』では、ロードバイクで時空を旅する姉弟が、過去・未来・異世界を駆け巡ります。
第2話では、昭和の下町を舞台にした物語が展開します。
それでは本編をどうぞ!

「過去へのダイブ」
眩しい光の渦が静まると、アキとヒロの目の前に広がっていたのは、まるで古い映画のワンシーンのような世界だった。
軒先から風鈴が揺れ、浴衣姿の子どもたちが駄菓子屋をのぞき込んでいる。瓦屋根に、紙の看板。そこはまさしく昭和の下町だった。
「うわ……これが、昔の日本……?」
アキが目を輝かせてあちこちを見回し、ヒロは慎重にタイムサイクルを押して歩く。2人は通りの端にバイクをとめ、静かに町を歩き出した。
ふと、神社の境内から自転車を整備する青年の姿が見えた。
「こんにちは〜!」
アキが元気に声をかけると、その青年は顔を上げてにっこりと微笑んだ。
「よう。観光?珍しい自転車だな。手伝おうか?」
青年の名は「ヒロシ」。その優しげな眼差しと、柔らかな話し方。アキとヒロは、その姿に息をのんだ。
「……ヒロ、おじいちゃんに似てない?」
「え?まさか……そんなわけ……」
ヒロは否定しようとしたが、その青年の顔立ちが、幼いころに祖父と見た写真にあまりにもそっくりで、言葉を飲み込んだ。
「まぁ、同じ名前ってだけで思い込んでるんだよ、きっと」
アキは笑いながらも、心のどこかで揺れていた。ヒロもまた、その笑顔が祖父に重なって見えて、なぜか安心してしまっていた。
ヒロシの案内で、2人は町を歩いた。木造の商店街、畳敷きの本屋、冷たいラムネが並ぶ駄菓子屋……。どれもが新鮮で、懐かしさすら感じられる。
途中、アキがヒロシに問いかけた。
「ヒロシさん、写真とか撮ってもいいですか?」
「いいよ。ただし、魂を抜かれるかもな」
冗談を言うヒロシに、アキもヒロも思わず吹き出した。
やがてヒロは、ヒロシと一緒に古びた自転車の整備をすることになった。工具の扱い方を教えてもらいながら、慣れない手つきで必死にねじを回す。
「しっかり押さえて、ゆっくり回してみて」
「……うん」

ヒロの顔は真剣そのものだった。その様子を見ていたアキが、ふとつぶやく。
「ヒロ、なんか、楽しそうだね」
「うん……なんか、落ち着くんだよ、この人のそば」
──本当は祖父じゃない。それはわかっている。
けれど、アキとヒロにとって「ヒロシ」は、どこか心を許せる、家族のような存在だった。
日が傾きはじめたころ、2人は神社の裏手で古い家族写真を見つけた。
「この写真……ちょっと見て。似てる……けど、違う……?」
そこに写っていたのは、ヒロシと、今はなき祖父の若き日によく似た男。しかし名前も年号も違っていた。
「……やっぱり、別人なんだね」
少しだけ寂しさを感じながらも、ヒロはふと微笑んだ。
「でも、いいや。似てるってだけで、なんか……勝手に安心できた」
アキも静かにうなずいた。
タイムサイクルの表示が光り始める。次の時代が、彼らを呼んでいた。
「ありがとう、ヒロシさん」
「元気でな。……また、どこかで」
ふたりはペダルを踏み込んだ。夕焼けの昭和の街並みが、光の中に揺れ、やがて遠ざかっていった。
──それは、確かに“祖父ではない誰か”との、忘れがたい夏の記憶だった。
(つづく)
📢次回予告:『すれ違う記憶』
昭和の下町で出会った若き日の祖父ヒロシ。アキとヒロそしてヒロシ3人の思いが交錯する。
次回「すれ違う記憶」、お楽しみに!
#タイムサイクル #次回予告 #タイムトラベル
※この物語はフィクションです。AI(ChatGPT)の支援をもとに執筆・編集されています。