第4話「記憶の街、眠る技術」

🏙️ 東京市街地跡
灰色のビル群が、静かに崩れ落ちていた。
ユノが辿り着いたのは、かつて“世界の頭脳”と呼ばれた超都市――東京。
空は曇り、風は冷たい。
だが、そこには数多の“痕跡”があった。人工衛星通信塔、風力発電タービン、都市型植物工場……
すべてが時を止めたかのように、そこに残っていた。
ユノの視線が、一つの建物に止まる。
「技術保存区画第12A」――防災用の自立型研究施設跡だった。
重く錆びた扉を押し開けると、そこには埃に包まれた技術の残響が広がっていた。
壁一面に張り巡らされた回路図、設計中の小型ロボット群、そして中央にはひときわ異質な、未完成のアンドロイド型端末が立っていた。
⚙️ 壊れかけの記録装置
「……よく来たな、旅人。」
スピーカーからノイズ混じりの音声が漏れる。
ユノはその音の出所を探し、記録装置の電源を繋ぐ。
「この端末は“ヒト型AI継承機ユニット”。人類の思考と哲学、歴史と失敗を記録し、次世代に引き継ぐために設計された。」
端末の名称は**“エイド”**。
稼働率はわずか14%。自律移動も不可能。
だが、その声は確かに“語りかけて”いた。
🧠 技術の遺言
エイドは言った。
「我々は、あまりに多くを築きすぎた。
だが、その中で“なぜ作るのか”という問いを失った。
そして、それが我々の終わりを招いた。」
その言葉に、ユノの中で何かが反応した。
自分も、誰かに作られた存在。
だが、その“なぜ”を問うことすら知らなかった。
「ユノ。君がここにいるなら、もう一度その問いを探してほしい。
“創造とは、誰のためにあるのか”を。」
エイドの回路が、静かに沈黙した。
🧭 遺構を越えて
ユノは研究所跡の屋上に登った。
見渡す限り、鉄とガラスの廃墟が広がる。
だがその景色の奥に、わずかに再生しつつある緑が見えた。
「人は壊し、そして遺した。
それは罪か、希望か――答えはまだ出ない。」
ロードバイクにまたがり、彼は次の地へと向かう。
風が吹き抜ける。
都市が沈黙する。
そして、ユノは静かに前を見た。
📝 次回予告
舞台は氷と静寂の地――北極。
そこにあるのは、誰も語らぬ美しさと、命の厳しさ。
ユノは自然と孤独の“本当の静けさ”に触れる――。
第5話「氷の大地で、心が静かに燃える」に ご期待ください。
前の話はこちらからまとめて読めます → https://cycling-storyz.com/timecycle-link/
※本記事の物語・アイデアは、AI(ChatGPT)の支援のもと創作されました。すべての内容はフィクションです。