サンセットの午後。
アキは店の棚に飾られた古い雑誌を見つけた。
「ねえヒロ!これ見て!」
表紙には大きく飛行機の写真が載っている。
『大飛行大会開催』
「へえ、大正時代の記事だ」
ヒロが雑誌を手に取る。
「この頃は飛行機がまだ珍しかった時代なんだよ」
「空を飛ぶなんて最高じゃん!」
アキの目が輝いた。
嫌な予感しかしない。
ヒロはため息をつく。
「まさか」
「よし、行こう!」
「やっぱり!」
青白い光が広がる。
次の瞬間、二人は大正時代の町に立っていた。
石畳の道路。
路面電車。
洋服姿の人々。
和服と洋装が混ざり合う不思議な風景だった。
「おおー!」
アキが辺りを見回す。
「なんかオシャレ!」
「大正時代だからね」
ヒロが答える。
すると遠くから歓声が聞こえた。
飛行大会の会場だ。
二人は急いで向かった。
広場には大勢の人が集まっていた。
だが会場の隅で、一人の少年がうつむいている。
「どうしたの?」
アキが声をかけた。
少年は驚いて顔を上げる。
「僕、飛行機を作っている先生のお手伝いをしてるんです」
「すごい!」
「でも……」
少年は青ざめていた。
「飛行機の設計図をなくしてしまいました」
「ええっ!?」
「風で飛ばされてしまって……」
今にも泣き出しそうだ。
「先生にはまだ言えてません」
ヒロが周囲を見回した。
すると遠くの坂道に紙が舞っているのが見えた。
「あれじゃない?」
少年が顔を上げる。
「それです!」
「よし、追いかけよう!」
三人は設計図を追いかけた。
紙は風に乗って町中を飛んでいく。
アキはすぐにタイムサイクルへ飛び乗った。
「君、後ろ!」
「えっ?」
「急がないと見失う!」
少年は慌てて後ろへ乗る。

「しっかりつかまって!」
「は、はい!」
ヒロも自転車にまたがった。
「アキ!飛ばしすぎるなよ!」
「行くよー!」
タイムサイクルは石畳の道を駆け出した。
坂道を上る。
細い路地を抜ける。
設計図は風にあおられ、丘の方へ飛ばされていく。
タイムサイクルは一気に坂を駆け上がった。
風を切る。
丘の上が近づく。
「あった!」
設計図が一本の木に引っかかっていた。
だが高い。
手が届かない。
アキがジャンプする。
届かない。
「ヒロ!」
「任せて!」
ヒロは自転車を横付けした。
「踏み台!」
「ナイス!」
アキはヒロの自転車に飛び乗る。
さらに体を伸ばした。
パシッ!
設計図をつかむ。
「やったー!」
少年の顔がぱっと明るくなった。
三人は飛行大会の会場へ戻った。
開発者の男性は心配そうに待っていた。
「先生!」
少年が設計図を差し出す。
男性は目を丸くした。
「見つかったのか!」
「ごめんなさい!」
少年は深く頭を下げた。
しかし男性は笑った。
「無事ならそれでいい」
少年は驚く。
「失敗したら次に生かせばいいんだ」
その言葉に少年は大きくうなずいた。
その時だった。
会場から歓声が上がる。
飛行機が滑走を始めた。
ゆっくり。
少しずつ。
そして――。
ふわり。
機体が空へ浮かび上がった。
「飛んだ!」
少年が目を輝かせる。
「いつか僕も空を飛ぶ機械を作りたい!」
アキは満面の笑みで言った。
「絶対できる!」
青空の中を飛ぶ飛行機は、小さいけれど確かに未来へ向かっていた。
サンセットへ戻ると、ユウがコーヒーを飲んでいた。
「おかえり」
「ただいま!」
「今度は何を追いかけてきたんだ?」
「設計図!」
アキが元気よく答える。
「飛行機のね」
ヒロが補足した。
ユウは少し笑った。
「空への憧れは、いつの時代も変わらない」
「ねえユウ!」
アキが身を乗り出した。
「次は宇宙時代に行こうよ!」
「やめて」
ヒロが即答する。
「絶対トラブルになる」
「えー!」
ユウは苦笑した。
「その前に宿題は終わったのか?」
二人は固まる。
「……忘れてた」
「だから言ったのに!」
サンセットにヒロのツッコミが響いた。
次回予告
サンセットで見つけた一枚のレースポスター。
そこに描かれていたのは――西部開拓時代の大横断レース。
「西部劇だ!」
大興奮のアキ。
しかし到着した西部の町では、翌日に開催される大レースの優勝トロフィーが突然消えてしまっていた。
乾いた荒野。
馬が駆ける土の道。
そして迫りくる巨大な砂嵐。
消えたトロフィーはいったいどこへ?
第7話
「西部の町で大さわぎ!」
お楽しみに!

