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タイムサイクル 第7話

タイムサイクル

アキとヒロのタイムトラベルアドベンチャーへようこそ!

本シリーズ『タイムサイクル』では、ロードバイクで時空を旅する姉弟が、過去・未来・異世界を駆け巡ります。

第7話では、パラレルワールドに迷い込んだ2人が、もうひとりの自分に遭遇します。

それでは本編をどうぞ!

重なるパラレル

違和感の街並み

まばゆい光の残滓が消えたとき、アキとヒロはゆっくりと目を開けた。足元には見慣れたタイムサイクルがある。だが、目の前に広がる景色は……どこか違和感を孕んでいた。

 そこにあるのは、自分たちがいつも走り回っているはずの街並み。けれど、建物の色合いがほんの少し違い、看板に書かれた文字や道路標識のデザインも、微妙に見慣れない。

「……ん? ここ、どこ?」
 ヒロが眉をひそめる。

「私たちの街に見えるけど……なんか変だよね」
 アキは辺りをぐるりと見渡し、不安げに首をかしげた。

 そして、目の前に立っていた二人の存在に、ふたりは息をのんだ。

もう一人の自分との出会い

そこにいたのは、まるで鏡に映したかのような二人――もう一人のアキとヒロだった。

 同じ顔、同じ声、だが雰囲気は明らかに違う。もう一人のアキは白衣のようなコートを羽織り、髪もきちんとまとめられている。隣に立つヒロは知的な眼差しでノート端末を抱えており、その背筋はぴんと伸びていた。

「……これって……私たち?」
「うそだろ……」

 ふたりは信じられない気持ちで、目の前の“もう一組の姉弟”を凝視した。

分岐した選択肢

 会話を交わすうちに、ふたりは理解した。

 この世界のアキは科学アカデミーの研究員、ヒロはトップクラスの秀才であり、二人はタイムサイクルの研究チームに所属していた。彼らの人生は、ある一つの“分岐点”から始まっていた。

「数年前、私たちは選んだんだ。自転車で冒険に出るか、それとも学問に集中するか」
「その結果、君たちと私たちは、別々の道を歩んでいる」

 別のアキは冷静に語った。アキとヒロは思わず視線を交わす。

「もし、あのとき冒険じゃなく勉強を選んでいたら……私たちもこんなふうになってたんだ」

互いの羨望

 沈黙のあと、別のヒロが口を開いた。

「けれど、僕たちは君たちみたいに風を切って走ったことはない。研究室の中で数式を追うばかりで、心が踊る瞬間は少なかった」

 その言葉に、冒険を選んだヒロはぽつりと呟いた。
「でも……君たちの生き方も、すごいよ。僕たちにはできないことをやっている」

 互いに、持っていないものを羨ましがる。だがその表情は、やがて柔らかくなり、微笑みへと変わっていった。

迫るタイムパラドックス

 その瞬間、タイムサイクルのディスプレイがけたたましく点滅を始めた。

《警告:タイムパラドックス発生中》

「やばい!」別のヒロが顔をしかめる。
「同じ時間・空間に“同一存在”が長く存在すると、時空そのものが崩壊する!」

 空気が震え、街の輪郭がゆらぎ始める。ビルが二重に見え、道路標識がかすかに重なって溶け合うように歪んでいく。

「もう長くはいられない……!」
 アキは焦りながらも、最後に一言伝えたいと願った。

別れの握手

「行かなきゃ。でも、その前に……」

 アキはもう一人の自分に右手を差し出した。別のアキも、迷いなく手を握り返す。

「また、どこかの時間で」

 ヒロももう一人のヒロと固く握手を交わした。
「元気でな!」

 次の瞬間、光のバリアが二組の姉弟を包み込み、世界は二つに裂けるようにして別れていった。

“いま”を選ぶ心

 タイムサイクルにまたがり、光のトンネルを走り抜ける途中、ヒロがぽつりと呟いた。

「……いろんな選択肢があるけど、今の自分たち、けっこう悪くないかもな」

 アキも笑みを浮かべて答えた。
「うん。私は今のこの旅、すごく好き」

 ふたりの胸に浮かんでいたのは、“もしも”の世界ではなく、“いま”を大切にする気持ちだった。

 タイムサイクルのギアが一段と力強く回転し、ふたりを次の未来へと導いていく――。


📢次回予告:

タイムサイクルでの次の着地は、アキにとって予想外の展開となった。
隣にいたはずのヒロが、どこにもいない。
まさか、時空のねじれ?
タイムサイクルに搭載された過去ログを調べると、驚くべき事実が浮かび上がった。

前の記事はこちらからまとめて読めます https://cycling-storyz.com/timecycle-link/

※この物語はフィクションです。AI(ChatGPT)の支援をもとに執筆・編集されています。

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